ヤコベイニア~vol.1

満を持して、書きます
わたくしの永遠のアイドルJacob Karlzonについて

むかし質問したことがあります
「スウェーデンにはすごい熱烈なファンがいたりする?」
「うん・・・(間)・・・Satokoが一番、かな」
というわけでご本人公認のNo.1!
Jacobファンクラブ会長Satoko綴る『ヤコベイニアーJacobmania (造語)』連載!
vol.1は1stアルバムから来日までです!

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実はJacobより先にLinaに夢中だったわたし
この日も渋谷のdisc unionとTower Recordをはしごした収穫でこの一枚を掘り出しました

『TEMPER』
Prophone Records PCD038 1997

Lina Nyberg (vo)
Jakob Karlzon (p)

1曲目の「One More Hymn」(後述のデンマークのTrine-Lise Væring (vo) 作詞)
大学のあの時代、どれだけCDウォークマンで聴いたことか
Linaのクセになるような声色とピッチはことばで表現できるものではありません
若いふたりの完璧なデュオは今でも教科書のような一枚です
Linaの選曲もいつもながらセンスが光ります

ん?なんか、どこかで、あれ?
当時まだ疎かった私は気づくまでに相当時間がかかりました
その過程がその後のドラマチックな感動を生み、この一枚を印象付けたのかもしれません
即答で生涯ベストワン、無人島にもっていくのなら、の一枚
これです↓

『TAKE YOUR TIME!』
Dragon Records DRCD-276 1996

Jacok Karlzon (p)
Mattias Svensson(b)
Peter Danemo(dr)

※ジャケット写真は赤ちゃんのJacobとお祖母ちゃんかな
ペインティングはJacob自身の手によるものだそうです

この一枚が私の人生を変えました
今でも牽引力が続いています
Malmö(マルメ)で結成された燦然と輝くJacobの初期トリオ

何でそんなにJacobが好きなのか
もし映画のように自分の人生にBGMやエンディング曲が流れているとしたら
この曲が流れている、とはっきりと感じたからです
20代、若いですし、それはそれは大きな衝撃、感動でした

そして1998年3月、
「Jacobを聴くために」北欧へ旅することを決意します

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当時はインターネットなんて大学のコンピューター室でしか使えませんでした
へぇ~、Yahooって魔法みたい!
毎日のように北欧圏のライブハウスのスケジュールをチェックして
FascingとかNefertitiとか

Jacob Karlzon TrioをスケジュールにみつけたのはCopenhagen Jazz House
並々ならぬ緊張感
人生が一変するという感覚もってその夜むかいました

ただただ喜びが溢れ、すさまじい量の音の感動が体を通り抜け、
ライブの内容はほとんど覚えていません
(2年前にライブで聴いたときも、音的な記憶がまったくのこらない傾向にありました)

一番印象的だったのは、Jacobが満面の笑みでメンバーを眺め演奏していたこと
彼は心から共演者を称賛している様子で弾きます
Jacobはすごいテクニックの持ち主でしょうが、そこを売りにしたピアニストという印象はありません
スノーボードの平野歩夢くんみたいに、好きが極限に高じて、ものすごいテクニックが自然と身に着いたというふうです

ライブが終わって、トイレに行って出てきた時、Jacobがちょうど何かを手にもってはしゃいだ様子で入口の階段から降りてきたところに出くわしました
ビカッッと目が合って・・・
きっと彼はその時「なんでこんなところに東洋人が」と思ったでしょう
話しかける勇気が出ないけれど、まさかこのまま帰るわけにもいかないとロビーに座り続けていた私に彼の方から近づいて声をかけてくれました
「僕に何か話したいこと、あるの・・かな?」
そして私はいっきに告げました
私はここ数年あなたや他のスカンジナビアン・ジャズをずっと聴いていて、大ファンで、Mattiasのベースソロに歌詞をつけて歌ったりして、どうしてもライブで聴きたくてここまできました、と
彼は絵にかいたように目を丸くし、「この子、僕たちを聴くために日本から来たんだって!!」とMattiasとDanemoを呼んで、そこからはもうとめどなく話しました

「次のアルバムはいつでるの?」と聞くと、なんと数日後にレコーディングを控えているとのことでした

Danemoがこの日ライブで、彼が普段多用するあの素晴らしいチャイナシンバルをまったく使わなかったので不思議に思い聞くと、メンバーみんなが顔を見合わせ笑いだしました

「実はさ、Mattiasが耳を悪くしていてチャイナを使いたくないんだよ。Mattiasはいいよ、って言ってるんだけどね。でも俺はチャイナだ! やっぱり今度のレコーディングではチャイナを使おう!」

そういういきさつで2ndアルバムでのクレジットをいただいたのです

Thank you for our Japanese fans for reminding Peter of his China cymbal

『Going Places』
Prophone Records PCD-041 1998

Jacok Karlzon (p)
Mattias Svensson (b)
Peter Danemo (dr)

※2016年に会った時Danemoはこのことを覚えていてくれました

ある日郵便受けの中に見つけたスウェーデンからの小包

「君からのたくさんのファンレターにやっと返事が返せます。筆不精でごめんね。クリスマス・プレゼントだよ!」

大好きなミュージシャンの新譜を聴くときのあの緊張感
矛盾しているようですが、自分の心に嘘はつけませんから、もしかして失望するかも、とふと恐れるのです
ですがあの西陽さしこむ夕刻の部屋でこのアルバムの第一音を聴いた瞬間のあの感動
忘れることはありません
特別な一枚です 独特な雰囲気をもった曲がたくさん入っています
この中の1曲に後に歌詞をつけて歌うことができたというのも嬉しい結末です

そして、2000年10月、
ついにJacobの来日が実現します

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森泰人さん (b)のスカンジナビアン・コネクション、デンマークのKatrine Madsen (vo)の歌バンドでした
私は苫小牧のアミダ様に2daysで聴きに行きました
途中で1曲トリオ演奏があり、森さんが
「Jacob Karlzonの曲で、バッブレス?バッブレッス?なんて読むのこれ?」と^^
そう、日本人で初めて「Bubbles」を聴いたのはその夜アミダに集った私たちだったのです

この時はJacobとたくさん話ができて、彼から映画や小説やジャズ以外の音楽のこともたくさん教えてもらいました
わたしにDavid Lynch、ツインピークス、Vince Mendosaを教えてくれたのはJacobです
博識な方で、本もたくさん読まれるようですね
たまたまその頃裏千家茶道を習っていたのでお点前を披露したのですが、Jacobは日本文化にとても敬意をはらっているようで、わくわくした様子で正座してわたしの点てた一服を両手で丁寧に受け取られたことを覚えています
後に京都に赴いた際、哲学の道に感動し「Philosopher’s Walk」という曲を書いたそうです
まだアルバムに収録されていませんね、聴きたいですね!

ちょっと脱線しますが、2日目の昼にみんなで丸駒温泉に行ったのですが、車中、当時の苫小牧のレコード屋さんWESTの藤沢さんがあるCDをかけてくださいました
そのCDに助手席のJacobが反応し、もうそれは何度もリピートして聴いていました

このCDです

『Nós』
Natasha Records ‎HNCD-1448 2000
Virginia Rodrigues (vo)

※後に私もプレゼントしましたが、不思議な巡り合わせで全部で5枚とか6枚彼の元に届いたそうです
私も愛聴盤です

ファンに人気のある「Bubbles」はこの3rdアルバムに収められています

『today』
Prophone Records PCD-059 2002

Jacok Karlzon (p)
Mattias Svensson (b)
Peter Danemo (dr)

最後まで読んで下さった方にとっておきのトリビアを☆

『Take Your Time!』という曲について

Jacobはある時、一年間もピアノを弾けない時期があったそうです
そんな時に自分に「ゆっくりでいいんだよ」と声をかけてあげるためにできた曲だそうです
だから「!」がついてるんですね

『ヤコベイニア vol.2』はリーダー作以外の参加CDの紹介、そして再会までです!