花ホール

花ホールコンサートのために選んだ曲たちについて語りたいことがあり、ここに記します


1. Songs & Lullabies
(Fred Hersch/Norma Winstone)

ヴォーカルに限らず多くのミュージシャンが愛してやまないこのアルバムからの1曲
南山さんとご一緒するときは必ず歌いたい曲

『Songs & Lullabies』
Sunnyside Records 1108
2003

Fred Hersch (p)
Norma Winstone (vo)
special guest Gary Burton (vib)

Apple Musicで聴く

Fred Herschは2020年に念願叶い、NYのヴィレッジ・ヴァンガードで聴けました
現役のピアニストとして非常に尊敬されている、アメリカの偉大なピアニストです
Norma Winstoneは2015年にミュンヘンで聴けました
大変インテリジェントなお方で、この方の歌詞は教科書のようです
私も共演者の方のオリジナルに歌詞をつけて歌うことへの憧れはずっとあり、何曲かつけさせていただいています
satokoの歌詞:https://www.satomoon.com/lyrics
東かおるさん(vo)も1stアルバムから大変意欲的にそういった取り組みをされています
そういう proactive で intelligent なヴォーカリストが尊敬され重宝される確固としたマーケットが日本のジャズシーンにあればいいのにな、とずっと期待しながら活動しています


2. The Moon’s A Harsh Mistress
(Jimmy Web)

Radka Toneff の不朽の名盤からの1曲
Jeanette か Lina が聴いてごらんとすすめてくれて現地で買ったんだけど、誰かに貸したまま帰ってこなくなってしまってT_T すんげーすんげーショックです
実は同盟のSF小説(まったくロマンチックでない)があって、Jimmy Webb がそのタイトルにインスパイアされて書いた曲だそうです
やっと自分らしく解釈できるようになったので今回選びました
あるお客様がよくリクエストしてくださって
最近ライブでお会いできないのでその方に届くといいな、というのもあります

『Fairytale』
Sunnyside Records NJ40032

Radka Toneff (vo)
Steve Dobrogosz (p)

Apple Musicで聴く


3. Never Let Me Go
(Ray Evans / Jay Livingston)

昔から好きな曲ですが、改めて何て美しく特別なハーモニーだろうと思います
ただただそのまま歌ってめちゃくちゃ美しいです
お婆さんになるまでずっと歌い続けていく楽しみがある
ジャズらしい大人の心情を描いた曲です
カズオ・イシグロさんの小説は読みましたが、私が歌うときはそれとは無関係です


4. Alfie
(Hal David / Burt Bacharach)

If only fools are kind, Alfie, then I guess it is wise to be cruel. And if life belongs only to the strong, Alfie. What will you lend on an old golden rule?

歌詞のこの部分で引用される”Golden Rule”とは、イエス様のお言葉です
人にしてもらいたいことを人にする―
イエス様の奇跡を求めて群衆が集まった際に、山に登られて群衆と弟子に向けて説かれた「山上の垂訓」の一節のことです
『マタイによる福音書』第5章-7章
『ルカによる福音書』第6章

数々の大ヒットを生んだバカラックが
一番好きだというこの曲
彼の想いとともに歌詞の訳もついていますので、詳しくはこのビデオでご覧ください

強く賢く抜け目ないことが成功の鍵のように言われますし、この世を見るとそのとおりになっています
親切で、人の気持ちをおもんばかること、それは競争世界では愚かで弱いこととも言われがちです
それでもこの世界に生きているので、この Golden Rule をどう貫いていけるでしょう
自分への永遠の問いかけのようにも思える曲です
バカラック、ハル、珠玉の名曲をありがとう


5. 収束性ドット世界(Dot World)
(satoko)

私の1stアルバム『All The Pretty Little Horses』収録のオリジナル曲です
この曲についてのブログはこちら『永遠の水玉』


6. Fly Me To The Moon
(Bart Howard)
arranged by satoko

愛を伝える―
私たちひとりひとりが
時間をかけ 言葉を選んで 手段を選んで
愛を伝えようとする

それは―
そっと頭をなでることかもしれないし
ばか野郎っていうことかもしれないし
コトンと物音がすることかもしれないし
太陽の光で照らすことかもしれない

in other words
それぞれの伝え方で

詩人というのは 単純なことを言うのに
たくさんの言葉を使うものだ
頭をひねって 時間をかけて言葉を選び
詩に情感を与える

僕はメロディーと言葉を使って
君に捧げる歌を書いたよ
こう歌えば
僕が言いたいこと 伝わるよね?

月まで飛んでいって
星から星をつたい
木星や火星の春を覗き見たりしたい
つまりね
僕の手を握ってよ
つまりね
キスしてよ

この心を歌で満たして
永遠に歌っていたいんだ
君は僕がずっと待ち焦がれた人
僕が崇めるのは唯一愛しい君だよ
つまりね
僕の真実の愛でいてくれ
つまりね
愛してるんだ