ソウルメイト
― Another True Sight ――
昨夜大発見をして大興奮してしばらく眠れなかった
ふと気づいたこと
これまで恋人に友情を求めたことがあっただろうか
ないない
ま~ったく、ない
ところで時は高校2年生にいきなり飛ぶ
葛飾区の女子高で寮生活をしていた時に捜索願い寸前まで行方をくらませたことがある
ショートカットでボーイッシュ
吉田栄作みたいないで立ち(つまり白Tシャツにジーパン)の私は、Hershey’sのでっかい
アーモンドチョコレートだけかじって数日都内で過ごし、その後秘かに大船の中学校時代からの親友の家に身を寄せた
彼女と一緒に朝出発して高校の近くの図書館で放課後まで待つ
その図書館でその頃、大ハマリしていたリチャード・バックの本を見つけた
『翼にのったソウルメイト』
この本を読んではじめてソウルメイトという思想を知った16歳の夏
きっと、親友をわしづかみにするように興奮して話しただろう
ソウルメイト、近頃ではツインレイとか呼ばれるそうだ
その思想に憧れ、その後何年もソウルメイトを探す旅が始まった
運命で結ばれたふたつの魂が互いを完成させる出会い
だがある時何がきっかけだったかまったく思い出せないが、
失われた半身を見つけられない限り自分が半人前で未完成だという考えに、まったく同意できなくなっている自分を見つけた
ロマンスとしてのソウルメイトを求めることの終焉
今では友情がすべての基本であると思っている
友人関係 恋人 音楽仲間 お世話になった先生 人生の先達 幼き友人たち
コナン そして家族も母も
親しき中に礼儀あり
慎みをもって
丁寧なことばで
あなたのことを大事に考えていますと思い遣る
友は私が何を選択するか分かっている
友は私の良心を疑うことを知らない
友は私を利用しない
友は私を欺かない
友と私は時間をかけ互いの誠意で信頼を築く
自分で自分が、過去の自分が不思議だ
ぽっと出のソウルメイトロマンス候補がこれに匹敵するなど、あろうはずもない
よくそんなものに城を開け放ってきたものだ
― Another True Sight ―
リチャード・バックの本でわたしたちが一番好きだった『イリュージョン』にインスパイアされて書いた曲
救世主であることに飽き飽きして退屈している救世主様が複葉機の遊覧飛行士リチャードとイリノイ州で過ごすお話
この世のすべてはイリュージョン、光と影からなる映像にすぎず、神のリーラ(つまり戯れ)でしかない
このゲームを終える時、あなたはまだわたしを探し続けているのですか?